全国にある神社は、伊勢の神宮を本宗と仰いでいる神社本庁が包括している神社だけでも、8万社を超える神社が存在しています。近年ではパワースポットと呼ばれ、パワーを得るために神社を訪れる方や御朱印を集めている方も多く見られますが、参拝にはきちんとした作法があります。難しいことではありませんが、せっかく訪れるのであればちゃんとしたマナーを身につけて、心身を清めてから神聖なパワーをいただき、神様とお話ししてみるのも良いかもしれません。
神社へ参拝に行った時は
基本的なことですが、表示がなくても神社内は禁煙です。木造建築である場合も多く、周囲にご神木などの木々も多くあり、万が一、火災などが発生しては大変なことになります。何より神社内は神聖な場所です。タバコを吸いながらの参拝はせず、所定の場所か喫煙所で吸うようにしましょう。また御神域内では飲食もしないのがマナーです。できれば水分補給なども、決められた休憩所などで行ってください。
そして鳥居の前に着いたら、端に寄り一礼します。鳥居は神社の神聖さを象徴する建造物で、神社の内と外を分ける境に立てられています。鳥居の内側は神様がお鎮まりになる御神域になっているので、お邪魔させていただく気持ちで一礼するのが望ましいでしょう。帰る際にも一礼することを忘れないでください。鳥居をくぐったら参道の真ん中は神様の通り道とされているので、左端か右端を歩きます。手水の位置が分かっている場合は、そちら側を歩くと参道を横切らずにすむでしょう。どちら側を歩くかは神社にもよりますが、伊勢神宮では外宮は左側通行、内宮は右側通行となっています。
参拝方法のはじめは手水の作法から
作法の一番目ともいうべき「手水」は、禊(みそぎ)を簡略化した儀式で、手水舍前に立ち水盤に向かい、「心身の浄化」のために行うものです。口や手を洗い清めることで、身も心も清められ清々しい気持ちで参拝ができます。
まずは右手で柄杓を取ります。水盤の水をたっぷりと汲み上げ左手にかけて洗います。柄杓を左手に持ち替えて右手を洗います。再び右手に持ちかえて、左手のひらに水を受けて溜め口をすすぎます。柄杓に直接口をつけないようにしましょう。静かにすすぎ終わったら、もう一度左手を洗い流します。残った水で柄杓の柄を洗い清め元の位置に戻します。
この動作は最初に汲んだ一杯の水で行うので、配分を考えながら行います。何度も継ぎ足すことはあまり望ましくありません。そして当たり前のことですが、参拝に来られるたくさんの方々が使用する柄杓に、口をつけてはいけません。手水では隣の方に常に注意し、周囲への心配りを忘れないようにしましょう。
二拝二拍手一拝にも正しい作法がある
二拝二拍手一拝が基本作法なのは知っている方も多いと思いますが、その姿勢にも細かい作法があります。
お賽銭は真心を込めたお供え物なので、投げ入れずにお賽銭箱に入れます。ですが昔はお供物を投げてお供えすることは、土地の神様に対するお供えや祓いの意味があるとも言われていたので、箱に投げ入れる時には、丁重な動作を心掛け心を込めましょう。
神前に進んだら、まずは姿勢をただします。背中を平らにし腰を90度に折り、2回お辞儀を行います。次に胸の高さで両手を合わせ、右指先を少し下にずらします。肩幅程度に両手を開き2回拍手を打ちます。指先を揃えます。そして最後にもう1回お辞儀をします。
神前での「拝」は深いお辞儀を指し、打つ「拍」は柏手と呼ばれ、神さまに誠の心を捧げお陰様の心と、心から感謝の気持ちをもって打ちます。また神社によっては特殊な拝礼方法を行っているところもあるので、参拝前に確認しておくことも大切です。
境内の小さな神社にも作法がある
大きな神社などでは境内に複数の神社が、並んでいる場合があります。神社の境内にある小さな社は摂社(せっしゃ)・末社(まっしゃ)神社と呼び、摂社では本社の御祭神である荒魂(あらみたまや)后神・御子神を祀った社や、御祭神と関係のある神や現社地の地主神など、特別な由緒がある社になっています。それ以外の社を末社といい、摂社は末社より上位に置かれているので、参拝をする際は摂社の方から御挨拶を行います。たくさん並んでいると迷ってしまいますが、まずは一番大きい摂社から御挨拶をしますが、基本は右側の神社から位が高いとされています。神社によっては順路が記されているので、それに従って参拝をするのが正しい作法です。
本来神社はお願いをする場所ではありません。参拝は神様に挨拶し、日頃の感謝の気持ちと新たな目標や決意を伝えるところです。お願いごとをすることは、マナー違反になるので気をつけましょう。神様に挨拶をし日々目標に向かって努力することで、神様の恩恵を受けることができるのです。
まとめ
当たり前だと思われるような基本的な作法から、細かいことまで述べてきましたが、参拝するにあたり一番大切なのは自身の「心」です。何かを思い、何かを感じて神社へ足を運ぶのであれば、さらに一つ一つの礼儀や作法を身につけてから参拝することをおすすめします。鳥居から神前に向かうまで、神様に失礼のない正しい参拝方法と共に、心身が清められることで日常から解放されていき、浄化されていくことで、自身が持っている本来の力が湧いてくることでしょう。